IVRC2015 予選フォトレポート

2015/9/10,11に芝浦工業大学で行われたIVRC(国際学生対抗ヴァーチャルリアリティコンテスト)の28作品全部を体験できたので写真を交えてレポートします。 作者の想いや識者の考えとは違うかもしれませんが、少なくとも私はそう感じました! (なお、写真は私のだけではなく、同じくIVRCスタッフの福嶋さんのも使わせて頂きました)


作者自身による作品紹介は以下の動画をどうぞ。


全体的に

今年はプレゼンテーション審査をなくていきなり約100作品の応募作品のの中から30作品を作らせようという事で、実際に稼働するか非常に心配された所ですが、事前辞退を除く28作品がすべてちゃんと動くという快挙を遂げました。IVRCの年々よくなっている側面です。
また今年は体感覚に訴える大型の装置が多くなりました。新しい潮流がまた現れているのかもしれませんね。

作品名に付いている通し番号は1~11は本選出場できるチームの予選通過順位です12以降の数字に意味はないです。


1:私をスキージャンプに連れてって

スキージャンプ体験装置。土台全体が傾いて傾斜が変わったり、風が吹いたりするのは普通に予想できる範囲なのだが、ジャンプした後の浮遊感の出し方がユニークで素晴らしい。

人間が踏み切った時の力で実際にスキー板が持ち上がる。その際の踏切で持ち上がった板をロック機構のついたロープでつり上げるのだ。つり上がったスキー板はヤジロベエの要領で、フラフラと浮遊感を与える。モータの瞬発力なんて人間の瞬発力に及ばない事が多い。そこを見事に解決している良いシステムだと言える。ちなみに着地は万力で挟んでいるロープを放してスキー板を落とす事で実現している。
とにかく浮遊感が楽しく、体感バランスゲームとして良く出来ていた。


2:ニョキニョキ豆の木

豆の木を登るという作品。見ての通りブランコにすわってロープを引っ張って登っている。ストーリー上はブランコはない事になっているが、実際の登山ではロープとブランコで登る方法もあるので、豆の木を登るという体験は自然にできた
ただし、ロープを引っ張るときの力を調整する反力はブレーキ機構で実現する予定だったが、実際には製作が間に合わず写真中央の彼が手で頑張っている。彼の力量によって自然な登り感覚を得られたとも言える。
登ったあとに鬼が居るのだが傍観しているしかない体験内容だったので、何をすれば良いか少し悩んでしまう所があったが、体験者はかなり軽い力しか出してないのに、ロープで登る感覚がちゃんと得れる事は凄い。


3:ユリアラビリンス

ネットでちょっと話題になった「失禁体験装置」。導入部分として水をのんでお腹の中を動かしていくというゲームがあるが、その世界に入るためのおまけだという事。本題は失禁感の提示である。腹部を風船で圧迫する事で尿意を提示し、温水パックで尿が出た感を出すという事だった。温水パックは本当にリアルで良い失禁体験となっていたが、尿意の表現に関しては個人差はあるだろうが、私は感じなかった。
ちなみに温水による失禁体験、お子さんの居る家庭なら経験済みかもしれない。膝に抱っこしている、赤ちゃんがおむつにおしっこした時、自分が漏らしたように感じた事がある人は多いと思う。初めての時はとっても焦る。アレを体験できる。 体験後は多くの人が「本当に漏れてないよな?」と確認しているはず。


4:もしも背中に羽が生えたなら

羽が生えて空を飛ぶ感覚を味わうための装置。
肩の筋電を計測し、肩甲骨を動かすと羽を動かしたと判定している。羽ばたくと白色の抱き枕が赤い矢印方向に強力に引っ張られて、羽ばたき感を出してくれる。かなり強力な羽ばたき感覚が得られる。
さらに上のようなデバイスが肩甲骨のあたりに取り付けられて、羽の根元の感覚を提示しているのだが、上に述べた羽ばたき感覚が大きいのに対して、非常に小さな力なので肩が痙攣している程度にしか私は感じなかった。個人的には後述の「バーチャルパタパタ」は逆にこの羽の根元感があり、タッグを組めばもっといいのにと感じた。
ともあれ、ぐいっと引っ張り上げられる感覚は装置の見た目以上にリアルで良かった。


5:飛行船しゃぼん号

シャボン玉の中に入って移動するという夢物語を実現する装置。
実際にはビニールシートを押しているのだが、自然にアニメの世界にあるような、弾力あるシャボン玉を押している感じがして、非常に良く出来ていた。
(表示されるCGの手がたまに複雑骨折してるのが残念だが・・・) 足元はタイヤチューブと空気でで台を浮かせてあってふわふわ感があった。斜めにならないようバランスも取らなければいけないのだが、これは狙ってたのではなく本来は斜めに傾くことなく、上下方向のみに空気量の調整によって動かしたかったとの事。 


6:壁を這うやつ

ニョキニョキ豆の木と同様、垂直に登る作品だが、こちらは横たわる事でほぼ無重力で手足をつかってペタペタと壁を登る感覚を体験できる。ヤモリかスパイダーマンにでもなったような感じで、人間として壁を登っている感じではない。ただ登っているという感じを得るのは十分できた。
壁から手足を離すと落ちる事ができて、落ちると人間を支えているハンモックの頭部側がガタッっと少し落ちてびっくりさせてくれる。


7:おくのて

喉から第三の手が伸びてくる感じが体験できる。
HMDを装着すると空中に「愛」「お金」「りんご」が浮かんでいて、それぞれを「欲しい!」と叫んだ後に、口を開けると口から手が出てくる設定。
出てくる手はCGで描かれていて、出る時にのど元に振動スピーカによる大きな振動と風船による首元への圧迫感を与えている。なので、口といってもちょっと下のほうのあご裏あたりから出ているような感じになっている。
1回目ではよくわからないが、何度かやっていると確かに出ている気がしてくる。


8:他己揚げ

名前の通りの作品で、凧にのって空を飛ばされる装置。乗る側はやられるがままで、操縦者が引っ張ると凧がギュイッと上がっていく。リアルな「ギュイッ」をブランコの立ちこぎの状態だけで表現出来ているのは素晴らしい。ただ一つ何点を挙げるならば、揚げられる側は単純に成されるがままなので、十分意思疎通が取れている友達と一緒に体験しないと「引っ張ったらより高く揚がったよ」という、インタラクティブな感じは出ない。


9:バーチャルうなぎ

ウナギのぬめりを表現している装置。水を出しているシャワーヘッドを手で触ると水圧のせいでヌルヌルして感じる。それをビニール袋をウナギの形に変えて表現している。
コンピュータを使わなくてもVRなんだぜ!という好例。本当は水流を使ってウナギのくねくね動く感じも作る予定だったが間に合わず、活きの悪いウナギになってしまったとの事。くねくねが加わるとまたひと味違った物になりそう。


10:チョップの達人

肘の所に自転車のブレーキがついたデバイスを装着すると、チョップしたときの衝撃を感じる事ができるというデバイス。ブレーキといっても一瞬かかるだけなので、本当に物が当たった衝撃だけで減速感はない。
スキージャンプと同様、人間の力と僅かな動力だけで表現できており、装置も小型軽量である。今回は椅子に固定していたが、本選ではパワードスーツのように着用するものにしたいとの事だった。
体験内容はスイカチョップに加え、刀で切る感覚の提示あり、人間の関節にブレーキを仕込むという発想はチョップに留まらず高いポテンシャルを持つという事が示されていた。


11:dARuma

自分がだるま落としのダルマになって、自分でダルマ落としをする作品。 目の前に鏡があったり、ハンマーは自分に向けてじゃなくて、適当に前を叩くといった所で最初慣れるまで何をやっているか解らなくなるが、頭の中で整理が付くと自分でダルマ落としをしている感じになる。なおちゃんと下の段を抜くことができると椅子がガクンと下がる(普通のOAチェアの座面高さ調整機構を使っている)。
幾何学的に矛盾のある状態での体験なので、夢のなかでダルマになって〜という、ちょっと俯瞰的な視点での体験だった。


12:3D Pninter

3Dプリンタではなく3Dプニンターである。
家具転倒防止用の耐震ゲルのような柔らかいゴム板の中に、同様の素材で作られた風船が4つ入っており、それぞれが膨らんでプニプニとした形を作れる。膨らむと同時に皮膚表面が引き延ばされる感じもする。今回は風船は4つであったが、本当は25個入れたかったとの事。
装置としては面白いが4つだと、どういうコンテンツに使えるか想像しがたかった事が残念だた。


13:Whisper

大きな耳に向かって囁くと、ヘッドフォンから囁かれてさらに、吐息のも感じるという装置。ささやきの気持ち悪さを表現したかったとの事。
音声は3D音声技術(頭部伝達関数)を使って位置を変換し、耳元に持ってきている。
吐息に関しては、ファンで風を送ると共に豆電球で耳を加熱していた。この加熱による生暖かさは、本当に「生暖かい」感じで、気持ち悪さを出すという意味ではよかった。


14:絶対ふるなよ!

缶を振って空けると、プシューっとエアーが吹き出して、炭酸飲料が吹き出す感じを提示するというもの。ちょっとエアーの出方が物足りなかったが、実際の炭酸飲料もこんなものだという事だった。本物はこぼれると言う事もあって、記憶がかなり強化されてしまっているようだ。個人的には、その記憶の方に合わせた出力のものも体験してみたかった。


15:ステステ

階段を上ってる時に、あと一段あると思ったら無かった!⇒「ガクっ!」を体験できます。HMDを介して自分の足元を見ながら登っていると、しれっと一段下の映像に切り替えられてしまって本当にガクッっと来ます。
つまり強制的に「あと一段あるはず」という勘違いを作るのです。私は本当にガクっとなりました。キツネにつままれた気分です。


16:色めがねで見る

IVRCの定番テーマの一つ、味覚が変わる系。HMDを通してみると食べ物の色の濃さが変かわる。例えばジュースが透明になったり、コーンスナックが濃厚チーズの色になったり。その状態でたべると、ほんのちょっと味が変わったように感じる。
かき氷シロップの色で味が違うように錯覚するのは有名だが、それを自分で操作しても起きるのか?そんな実験を体験できる作品。


17:Chocolat Display

「映像を食べる」がメインコンセプトの作品。
マシュマロをチョコファウンテンに突っ込んだときに、ぱぁっと光るのは普通にレストランにあっても嬉しい演出。光るマシュマロを口に運ぶと〜という演出もあったのだが、食べる時の画角的に気付きにくいの難点。
口に入れると竹串が振動して、食感を提示するが竹串が振動しているので歯触りというよりも、かみ切った後のぷるんとした振動の類として私は感じた。


18:The Kawara-Wari

瓦割りを体験する装置だが、オーディエンスに見せるという事にも重点を置いている。
瓦割りは実際にやってみると想像とは違って、一枚目こそ割った感じがするものの、2枚目以降は擬音語で言うならば「どぅるるる」な感じということで、瓦割り装置は天面の発泡ウレタン板と挟み込みローラーで出来ている。その手の動きに合わせて画面の瓦が割れるCGがでる。

絶対振るなよと同じで、リアルにしたが為に理解されない面もあったようだった。


19:バーチャルパタパタ

背中に羽が生える感覚を提示するデバイス。
だけど、空は飛ばない。羽ばたきまででである。理由は背中のバックパックをつり上げて羽に引っ張られる感をだすモーターの力が小さく、飛ぶ表現が不自然だったからという事だった。しかしながら、背中のバックパックから伝わる、羽がグリっと動く感触は非常にそれっぽくてよかった。羽の感触機構にはマッサージ器の揉みダマと同じ機構を採用している。


20:歯みがっきー

IVRCの定番、何かの作業に演出を加えて楽しくしよう系の作品である。
歯磨きをするとその動きに合わせて音が鳴る。本当は歯ブラシ本体で細かなブラッシング動作を取る予定だったが、間に合わず指揮棒を振るかのように大きく動かさないといけなかった。


21:人と球体の新たな関係性

IVRCの定番、影で遊ぼう系作品
影に合わせて球体ロボットが動く。基本的には影でロボットを弾くように動かすのだが、逆に手のひらを握ってロボットを捕まえる事もできる。ロボコンなみにギュインギュイン動くロボットは気持ちよい。惜しむらくは操作の安定性の問題なのか、処理速度の問題なのか、打てば響くようなインタラクションまでは作り込めていなかった。


22:石蹴りインターフェイス

腰に付けたプロジェクタで地面に映された石をけると、靴の中でコツンという感覚が味わえる石蹴り体験マシン。無限プチプチの石蹴り版と行っても過言じゃないだろう。

蹴った瞬間以外は、石は常に中央付近に表示されるので、石蹴りのVRというよりも無限プチプチを石蹴りにしたらこんな感じ。というちょっと複雑な体験になってしまっているのが、一般には理解されがたいかもしれない。


23:ラインアップパンチホール

これもIVRCの定番の一つ、特定操作感覚フェチ系。
パンチで穴をあける感覚っていいよね〜。折角だからVRでいろんなものに穴をあけて楽しもうという作品。
穴が飽くまでは板のしなりで、ぐいぐい押し込む感じを表現して、穴があく圧力に達すると電磁石で固定されていた板がはずれて、パンチがすっと貫通する感じが得られる。


24:REAL METAMORPHOSE

鏡の前でポーズを取ると、変身・攻撃ができるという作品。
自分の手を見るとちゃんと変身していたりと、単純に楽しめる作品なのだが、技術的な(or 表現としての)新規性等をアピールするのが難しくIVRCとしては苦戦していた模様だった。


25:シャボミントン

最近流行を見せている、超人スポーツ系の作品。
シャボンに見立てた風船(シャボン)を打ち合う事で、ユックリとした状態でのボールゲームを楽しもうというもの。HMDを被る事で海の中でシャボンを打ち合っているような表現にしていた。
コンセプトとしてはユックリしているので、老若男女を問わずに平等に楽しめるという事だったが、それ以上にカメラ越しの映像をHMDで見る事による位置ズレが大きく、別の難しさを呈していた。個人的には蟹の視点でバレーボールをやるといった、視点の変換をあえて楽しむゲームとして楽しむのも手だと風船を追いかけながら感じた。


26:テバター

指人間の視点でコースを走るという作品。
砂漠のコースでは手の甲が熱くなり、雪のコースでは手の甲が冷たくなるという細かい演出もあり好感できたが、シャボミントン同様に手の甲に目をつけるにあたって、何処が自分の「手についている目だ」という位置を合わせるのが難しく、私の場合は「なんかちょっと足元みえないなぁ。」という感じの体験になってしまった。


27:ノーツ イン マイ ハンド

もふもふ・ザラザラ・つるつるしたボールを振るとそれぞれのイメージにあった楽器で演奏が奏でられるという作品。主に子供と音楽を楽しむ教室を念頭に作られている。単純に楽器の音がバンバンなるのではなく、アンビエント音楽のような流れる音楽になるように作られている。
流れる様な音楽であるため、操作している感を得るにはある程度の習熟が必要に感じた。


28:Cockroach-Human Interaction

ゴキブリの気持ちになる装置。
隣のブースにおいて有るゴキブリロボットの視点になって、人間の足音の振動にビビりつつエサを探す体験をする装置。光を当てると、恐怖のあまり画面がぐらつき、細かい震えが伝わるという表現は芸が細かい。(細かすぎて伝わらない?)。

本来は人間側とゴキブリ側の両方の人で体験する作品であるが、私は人間側を展示スタッフにまかせて、ゴキブリ側だけを体験した。ゴキブリの恐怖ポイントの一つ「速さ」がないせいか、介護をうけるゴキブリみたいな体験になってしまった。